泉蔵寺は萬年山と号し、曹洞宗(禅宗)のお寺です。
ご本尊に南無釈迦牟尼佛を安置し、
脇侍に文殊菩薩と普賢菩薩をそなえ、釈迦三尊が祀られています。
開山は足柄上郡松田惣領延命寺の末寺として、
本寺二世行室良順大和尚によって文明十三年(1481年)に開山され、
寺領十三石の御朱印を慶安二年八月に賜わると新編相模国風土記稿に記されています。
開創以来五百有余年の歴史をもち、「東国花の寺 百ヶ寺」に選ばれています。
境内のチューリップが彩る花景色は、千村の郷に春を告げる風物詩です。
秦野二十四所地蔵尊の御詠歌に十二番目としてうたわれています。
「よろづよも みのりのこへは さこうべし まつをためしに はなのふるてら」
石仏十王像(寺宝)(秦野市指定重要文化財)
相模風土記によると、十王像は泉蔵寺開山良順大和尚によって、
地蔵の石仏を中尊とする十王堂を建て奉安したと記されています。
仏師は奈良興福寺の僧侶であった康慶がおこした流派、「慶派」の如慶の作と石仏に刻まれています。
作風は、写実的かつ躍動的で力強さを感じ、仏教の因果応報を知ることのできる石仏です。
秦野市の「十王像」解説ページはこちら
徳本佛(とくほんぶつ)
徳本佛は、天宝十一年庄右エ門作と仏像に刻まれています。
近郷の人々から徳本さんと親しまれ、安産を祈ってお念仏が唱えられました。
徳本上人は、漢方医学にも詳しく病の人々をなおして歩かれ、
江戸時代には甲斐、駿河、相模へと行脚され当山にも滞在されたと伝えられています。
泉安廟(せんあんびょう)
丹沢の山々を遥かに望む花苑の丘に、お地蔵さんをお祀りした泉安廟は、
故人が泉蔵寺で安らかに眠ることのできるようにと願いをこめて建立した永代供養墓です。
お寺詣りにみえたある老夫婦の言葉をお借りすれば、
「自分のお墓は自分の手で建てておきたいと考えていましたが、汚れたままになっても淋しいし、
何かよい方法があればと思っていた時、新しい墓苑のについてお話を伺い、
この世に生きていた証が一つの形として残ることができるのはとてもありがたいことです。」
といって胸に手を当てておられました。
泉安廟は一つの墓に縁あって出会われた方々の集合の墓であります。
この墓苑では、故人の霊が安らかに眠ることのできるようにと、
當山のある限りご先祖さまとして年々のご供養を継承してまいります。